リサイクルタイルカーペット開発秘話
ECOS®開発プロジェクトメンバー
米村 尭紘
石井 宏明
櫻井 武
清水 和文
プロジェクトメンバーに、新入社員が大抜擢
「何か新しいことがしたいです!」入社面接で発したこの言葉から、米村のタイルカーペット人生が始まりました。
新入社員の彼が抜擢されたのは、タイルカーペットの再生材比率を世界トップクラスにまで引き上げようという、社運を賭けた一大プロジェクトでした。
しかし、彼がその重要性を知る由もありません。まさに“まっさらな状態”からのスタートでした。
チーム最年少の彼に任されたのはテスト業務。 検査機器を用いて試作品のカーペットのデータを収集、分析する。
地味ですが、製品開発には欠かせない大切な作業です。
分析結果をもとに、材料、加工条件、工法などを先輩とともに検討して試行を重ね、ようやく求める品質にたどり着きました。
しかし、本当の正念場はここからでした。 試作機から実機へとスケールアップするなかで、想定外のトラブルが続出したのです。
実は市場に流通しているリサイクルタイルカーペットの再生材比率は25~40%程度のものがほとんどでしたが、一方で住江織物グループが目指したのは、当時で最大77%と世間の常識を大きく超えるもの。
それを実現したのは、これまで困難とされてきたタイルカーペット裏面のバッキング材への再生材使用を成功させ、しかも、原料を使用済みタイルカーペットに限定することで、水平循環型リサイクルを可能にするという画期的な手法を取ったからでした。
しかしそれが、量産化に向けての大きな壁となりました。
使用済みタイルカーペットを粉砕したリサイクルパウダーは不均一で、かつ従来に比べて約2 倍もの工程が必要となるため、生産が安定しないのです。
水平循環型リサイクルタイルカーペット「ECOS®(エコス)」誕生
米村は現場に張り付き、トラブル対応に奔走しました。
「トラブルが生じる度に、材料や工程、機械調整などの改善を行う、まさに気を抜けない日々が続きました」そう当時を振り返ります。
その後、開発チームの奮闘の甲斐もあり、ついに安定した生産体制を確立しました。
再生材比率を極限まで高めた画期的な水平循環型リサイクルタイルカーペット「ECOS®(エコス)」は、2011年5月に発売を開始するや大きな注目を集めました。
「当時、「ECOS®」を紹介する記事を見ても、それほど大きなことを成し遂げたとは思っていなかった」という米村。
しかし、その後、現在に至るまで一貫して「ECOS®」の品質や生産効率の向上、生産現場の作業者の負担軽減などに携わるなかで、「新入社員なのに、すごいことを任されていたのだなと感慨が湧いてきた」と語ります。
「若手にチャンスを与え、自由に意見を言いあえる“自ら育つ”環境があるのが、住江のいいところですね」「裏面のバッキング材こそ、タイルカーペットの命」と力説する米村。
「今後も新しいモノづくりに挑戦し続けていきたい」と、情熱の炎を燃やし続けます。